おいなり

TENET テネットのおいなりのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.8
TENETを観た。さっぱりわからなかった。



そんな消化不良な初回鑑賞のあと、IMAXがすごくいい!という話を小耳に挟んだので、IMAXレーザーGTテクノロジーのシアターを持つエキスポ109で(鬼滅の刃に追いやられてそこでしかIMAXテネットを観れなかった)もう一度観た。横だけでなく縦方向にも画面を伸ばして元映像から何も切り取らないピュアIMAXの極大画面で観れば少しは理解できるかもしれないと思った。

何もわからなかった。



いや、正確には一つだけわかったことがある。この映画がおそらくものすごく緻密に計算されて作られた傑作だということだ。
前半の謎が折り返し地点以降「あれはそういう意味だったのか!!!」とわかる答え合わせの爽快感。逆回しと順回しが交わる、撮影方法が不明すぎるアクション。先がまったく読めない裏切りの連続。とにかくあらゆる水準が高い濃密な3時間。ガワがやたらとデカいのに中までぎっしりあんこが詰まっている。ここ最近みた映画の中ではぶっちぎりで情報量が多く2500円でもぜんぜん高くないなと思った。

ただ、あまりの情報量の多さに、途中から理解を諦めて話の筋だけを追ってしまうのだ。本作のよくできているのが、それでも十分に面白いということ。「何がなんだかわからない」という意味ではインターセプターと近い感覚はあるが、本作はアクション主体なので、意味がわからずとも斬新な方法で撮られたオリジナリティの高いアクションシーンは、それだけで楽しい。
ただ「理解できなかった」ことが、なにか本作の大事な部分を見落としたような、100%楽しめていないのではないかというような、そんな欠落感が残ってしまった。

「主人公」がテネットに触れ、次々と奇怪な現象に襲われる序盤 ←わかる

文字通り折り返すように時間を逆行する中盤 ←まだわかる

スパイムービーの枠を超えた逆行時間アクション満載の終盤 ←まったくわからん

ほんとに、終盤は誰かに解説してもらいながら観たいと思うほど様々な状況が入り乱れてて、今なにを目的に何のためになにをしてるのかを把握する難易度が高すぎる。



エリザベス・デビッキさんは本作で一躍有名になりましたね。美人で若く見えるのにあのくらいの子供がいてもおかしくなさそうな風格というか。いま30歳ってことはGotGのアイーシャって20代だったの???身長のせいもあるだろうけど、誰よりも存在感があって、忘れられない俳優になりました。
あと僕はケネス・ブラナーのなんとなく色気のあるおじさんぷりが大好きです。品があるいやらしさ。スマートで、金持ちなのに成金ぽくなくて、ああ〜、ケネス・ブラナーみたいなおじさんいいなと思いながら終始みてました。

SATOR・AREPO・TENET・OPERA・ROTASというのは英語の有名な回文で、ノーランらしい言葉遊びですが、これらの単語がさりげなく意味深に散りばめられた本作、時間の逆行なんてワールド・シミュレーターぽい題材、何か大きな裏があるんじゃないかな〜なんていかにも文系的な考察をしています。2回観てもまだまだ楽しめそう。わけわからんのに観ててなんかオモロイという特異な作品ですね。
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