鰤鰭

TENET テネットの鰤鰭のレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
5.0
3回観た感想。この作品、総合的な映画戦闘力が高すぎる!

なんと言っても見たこともないアクション!最高の映像的快楽!逆再生の映像だけじゃ何の真新しさも無いのに、順行と逆行を同居させたらこんなにエンタメ性の高い映像になるのか!

続編は多分無いし、これきりでこの設定と表現手法を使い切ってしまうのはあまりにもったいない…映画だからこその素晴らしい作品ではあるけど、ドラマとして撮って考えつく限りの逆行アクション大喜利を見てみたくもなった。
今後他のタイムトラベル作品で真似できないし、ノーランはなかなか凄いことやっちまったな。

全編通して緊張感全開の無限音階の音楽と圧倒的な映像が合わさった画面から来る圧がとにかく凄い映画。だからスクリーンで観てこその映画だと思う。
上映期間中にぜひ池袋のIMAXレーザーGTで観て欲しい!


【2021/2/6 Blu-ray・特典映像 再鑑賞後追記】
内容に関しての感想は書いてなかったので追記。

楽しみ方としては、ほぼほぼ1回の鑑賞で楽しむ映画ではなく、観終わった後に一つずつ整理して考えて自分なりの"答え合わせ"をしていく過程が楽しい映画かなと思う。初見ではパズルのピースを渡されたに過ぎず、それを組み上げるところまで含めてTENETの映画体験かな。

ポイントは、いろんな原理を並べてさも科学的に成立しているような顔して「どうして時間が逆行するのか?」という設定自体はハッタリで煙に巻いているということ。そういう専門知識が無いと太刀打ちできない部分は、一旦正としてみんな(ノーラン含め)で飲み込んだ上で、「もし時間が逆行したら我々はこうなるはずだと思うけど、あなたはどう思う?」という問いかけを全力で映像化してる。
だから観た人それぞれが、自分の感覚を元に自分なりの“逆行論”を組み立てていく楽しさがあるし、科学考証ごっこをさせてくれる。
これまでもゲーム(メタルギア、etc.)とか漫画(進撃、etc.)でやってた、小難しい話を整理して紐解いていく楽しさ。そして自分の中で整理しきれたときの気持ちよさ。

もちろんこれは観客だけがやってるんじゃなくて、作り手も必死こいて詰めてる部分。いろんな分野のプロフェッショナルが集まって、ちゃんと整合が取れているか?それをどうやって映像化しようか?みっちり議論し合ってる。
カーチェイスのシークエンスでは、最初にみんなが正解だと思ってた流れが現場で撮ってみると全然破綻していた、という裏話もあって、本当に未知の正解の無いものをいかにそれらしく成立させるか?を真剣に考えるの、まさしく創作の醍醐味であり大人のエンタメって感じで楽しい。

そして繰り返しの鑑賞に耐え得る逆行アクションの映像的快楽と、BGMによる緊張感。何度観ても楽しい!

【鑑賞回数】4
【鑑賞履歴】
・2020/09/19 🎞グランドシネマサンシャイン【IMAXレーザーGT】
・2020/10/01 🎞Tジョイ横浜【Dolby Cinema】
・2020/10/15 🎞グランドシネマサンシャイン【IMAXレーザーGT】
・2021/02
鰤鰭

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