ジェイコブ

魔女見習いをさがしてのジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

魔女見習いをさがして(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

一流企業勤めだが仕事が思うようにいかずイライラする毎日のミレ、ダメ男と別れられないフリーターのレイカ、教育実習先の学校でうまく立ち回れずに悩む大学生ソラ。それぞれ人生に思い悩む三人は、子供の頃に熱中していた『おジャ魔女どれみ』に出てくるMAHO堂が見つかったというネット記事を見て、聖地巡礼に訪れる。住む場所、年齢、性格と、どれも違う三人はおジャ魔女どれみをきっかけに意気投合し、
どれみにまつわる各地の聖地巡礼を三人でするようになる。ある日、聖地巡礼の一環で訪れた岐阜で、レイカは幼い頃に別れた父親と偶然再会するのだが……。
20年ほど前にテレビ朝日系列で放送して、絶大な人気を誇った児童向けアニメ『おジャ魔女どれみ』。本作はそんなおジャ魔女どれみを見て育ち、大人になった三人の現代女子が抱える仕事、恋愛、人間関係等の悩みと向き合う姿が描かれている。ミレ、レイカ、ソラは自分の好きだったキャラクターに寄せられていることから、まるでおジャ魔女どれみの三人が大人になった姿かのように錯覚してしまうほど。三人はどれみが無ければ知り合うこともなければ、自分の本当の気持ちにも向き合う事ができなかったかもしれない。大人になった今、改めてどれみが好きだった昔の純粋な自分の気持ちを思い出した事で、自分達の心の中に抱えていた夢や悩みについて素直に語り合えるようになる。
三人が推すどれみのキャラクターに寄せられているとはいえ、現実は魔法のように何でも都合よくいくわけではない事も描かれている。例えばレイカが推すあいこは、両親が離婚して父子家庭に育ったが、魔法の力で家族を元の形に戻すことに成功した。しかしレイカの方は、長年会っていなかった実の父親を探し出すも父親には既に別の家族がおり、父親はレイカが自分の娘であると気付いたが、自分の今の家族を大事に思うあまり知らないふりをされてしまう。レイカはアニメと違って思うようにいかない現実に絶望し、この事がきっかけで3人の仲に亀裂が入ってしまう。しかし、そんな時も道標となったのはおジャ魔女どれみであった。ミレはどれみからケンカした人との仲直りするには「相手の目を見て直接謝る」というシンプルだがプライドの高い人には難しい方法を学んで実践し、以前よりもレイカと仲良くなる事ができた。
三人は聖地巡礼の中で、同じどれみ好きの大学生大宮と出会う。男前で優しい大宮に惹かれていくソラだったが、ミレやレイカから大宮が過去にSNSでやらかした難のある男であると聞かされる。しかしソラはSNSの評判には惑わされず、自分の目で見て感じた大宮の事を信じると告げる。ソラのその思いは、紛れもなくどれみから学んだ事であり、それがその後彼女の進路を決める上で重要な意味を成す。三人の人格形成の根本にはおジャ魔女どれみがある。それは子供の頃だけでなく、大人になった今でも影響し続けているのは、何だか自分も大切な何かを忘れているような気持ちにさせられ、泣けてきた。
オンプちゃん好きの大宮の声を担当した三浦翔平も大のおジャ魔女どれみファンで、しかも大宮同様オンプちゃん好きというのが面白い。やっぱり男子はオンプちゃんみたいな女が好きなんでしょ?っておジャ魔女どれみの話をすると必ず女子に言われてきた事をふと思い出した笑