ずどこんちょ

魔女見習いをさがしてのずどこんちょのレビュー・感想・評価

魔女見習いをさがして(2020年製作の映画)
3.4
『おジャ魔女ドレミ』が誕生しておよそ20年。あの頃、日曜の朝に寝ぼけ眼で見ていた子供達も、今はすっかり大人になって社会人になっています。
大人になって現実の世の中に直面すると、あの頃思っていた「魔法」という存在が幻想のように思え、悩み事や辛い事ばかりだったりします。
ドレミたちなら魔法で問題を解決したりしていたのに、自分の力で何とかするしかない。それでも何ともすることができない。そんな無力感を味わうこともあります。

そんな『おジャ魔女ドレミ』の大ファンである3人の女性がMAHO堂のモデルになったと言われる鎌倉の聖地で出会い、意気投合し、日本各地を聖地巡礼の旅に出るというストーリーです。
ドレミたちの聖地を巡ることで、「魔法」のような奇跡と直面し、そして私たちの現実における「魔法」に代わる力の存在を知るのです。

おもしろいのが、リアタイで初期作品から見ていたのは27歳の帰国子女キャリアウーマンであるミレだけで、発達障害に関心を持つ教師志望のソラは4期からのリアタイ組、19歳フリーターのレイカにいたっては再放送と配信のみでファンになっております。大人になったという共通点のみ持っておりますが、微妙に世代が違っていても愛されるのが『おジャ魔女ドレミ』の魅力ということでしょう。
声を当てていた3人も、まるで当時のドレミたちがそのまま大人になったかのようで絶妙でした。

ちなみに、作品後半から男性ファンも現れます。
私も昔、妹が毎週リアタイで見ている横でポケーっとした顔をしながら眺めていました。特段これといって思い入れという思い入れはありませんが、人気テーマソングの「おジャ魔女カーニバル‼︎」は友達とのカラオケで馬鹿騒ぎしながら歌ったりしたこともありますし、細田守監督が演出した神回を見た時は奥深いストーリーが印象的で今でも忘れられなかったりします。
やっぱり懐かしい思い出の一つです。

20年経って、当時の子供たちが大人になったからこそ同じ目線で見て共感することができるドラマです。ある意味、本作のメインターゲットは直球ストレートで彼女たちの同世代。
だから作中では『おジャ魔女ドレミ』のようなドタバタ劇ではなく、ミレ、ソラ、レイカの人間ドラマをメインに描かれます。レイカの父親とのエピソードは切なくて苦しかったです。

そしてその背景にドレミたちの存在が常に姿を見せています。
自分語りで悲劇のヒロインになるドレミの口癖とか、
喧嘩をした時の仲直りの仕方とか、
友達同士で最後に力を合わせた時のマジカルステージとか……。
おジャ魔女が好きなファンから見ると、もっとオマージュされている部分もあるのかもしれません。

大人になってからも子供の頃に見たアニメや漫画などが強く影響を与えることもあると思います。そこから力を分け与えられることもあると思います。
魔法使いになることは叶わなかったけど、魔法に代わる力は私たちの中に眠っている。
幼い頃にドレミたちから教えてもらった強い力を思い出したような気がしました。