LalaーMukuーMerry

ラフィキ:ふたりの夢のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ラフィキ:ふたりの夢(2018年製作の映画)
4.2
経済的に急成長を遂げてきたアフリカ諸国に対する認識を、そろそろ日本人は変えなければいけない。30年間も経済成長率がゼロのままで、その間世界にどんどん置きざりされているのが現実なのに、「日本凄ぇ~」とか言って、技術と経済で世界を今でもリードしている大国と勘違いしたまま、上から目線でアフリカを見ている人がほとんどのように感じる。
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この映画には、アフリカといってもあの大自然は全く出てこない。電気も水道も家電もケータイもみんな持っている、活気にあふれた若い人たちで一杯の、カラフルでポップな異文化感があふれた大都会。
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そんなアフリカの一角、ケニアのナイロビが舞台。対立する政治家(選挙立候補者)の子が恋してしまうという現代のロミオとジュリエット風シチュエーションのドラマ。ただし恋に落ちた二人はLGBTのL。ボーイッシュで看護師になるのが目標の学生ケナ、その相手はファッション大好きな女の子ジニ。政治的対立よりもLGBTであることの方が、ずっと大問題という社会。2重の意味で禁じられた恋に落ちた二人の顛末は、だいたい予想がつく。
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「国・地域別のLGBTの権利」(Wikipedia)によると、同性愛が法的に認められていない国(罰則はないが違法 or 拘禁となる)は世界地図の中ではアフリカ、アラブイスラム圏に集中している(アフリカで認められているのは南アフリカだけ。サウジアラビアでは同性愛は終身刑、イランでは死刑)。
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だから、この映画はケニア本国では上映禁止の筈だ。それでもこれを制作した監督(ヌワリ・カヒウ)の強い意志を感じとりましょう。引き裂かれた数年後、再び出会った二人の感情はおそらく変わってないのだろう、変わってほしいのは社会の方。希望の持てる未来が来ますように。