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ランジュ・ノワール 甘い媚薬のakrutmのレビュー・感想・評価

3.4
マフィアの大物である男性を射殺して正当防衛を主張するブルジョア婦人の秘密が、彼女の弁護人の調査を通じて明らかになっていく様子を描いた、ジャン=クロード・ブリソー監督のドラマ映画。官能的な作品をメインに撮っている監督であるが、本作はエロティック・サスペンスと言われているわりには、それほど官能的なシーンがあるわけではない。

どこか TV の二時間ドラマ(今どき古い!)を見ているような感じがする、言ってみればオーソドックスなストーリー展開の作品である。良く言えば、一定の水準の内容なので、深く考えずに安心して見ることができる。悪く言えば、展開が予想できるので、特別な何かを期待して見てしまうと不満が残るだろう。一応、最後のほうにどんでん返しがあるが、最初のほうである程度予想できてしまうのも難点。

ブルジョア婦人を演じたシルヴィ・ヴァルタンは、(私より上の世代の)日本でも人気があった仏歌手である。本作以前にも映画には出演しているが、本人役をはじめ歌手としての役が多く、純粋に女優としての出演は本作が最初である。したたかで妖艶な女性を演じたことで、公開当時は話題になったとか。個人的にはあまり良さがわからなかったが、若い頃はもっと魅力的だったのだろう。一癖も二癖もありそうな弁護士役のチェッキー・カリョが映画全体を引き締めている。一人だけ蚊帳の外に置かれたミシェル・ピコリがどこか哀れであった。
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