ヤマニシ

イップ・マン 完結のヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

イップ・マン 完結(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 ナショナリズムと人種差別は国境を超える...。イップマンは最終章にして差別の本場アメリカへ。間違いなく国際問題になるレベルの人種差別を食らい、これまた国際問題になりかねない大暴れをして帰る。これがイップマンである。(差別が国際問題になるだろうというのは現代の感覚で、当時どうだったかは知らない。)ていうか跪いてるやつに対して「お前の娘の姿とそっくりだな」みたいな発言するやつのもとで働きたいか?人種差別どうこう以前に人格に問題ありすぎる。とはいえ前回の敵役はあんまり嫌なやつがいなかったので、これくらい振り切ってくれていた方が爽快感はある。初手で空手が出てきたので三浦か旧日本軍の再登場を期待したがそうはならなかった。かませでもいいからちょっと出たらうれしかった。めっちゃアジア人に対して人種差別してた教官が空手は最強の武術とか言っててそのあたりは分けて考えるんだって思った。そういえばチアの女の子の問題は解決してなくないか?まあ何とかなるか。今までは国内のみでの活動だったけど今回から外国に渡ったことで、作品として武術を通して偏見をなくしていきましょうみたいなわかりやすい志が提示されてたのはよかった。やっぱりブルースリーは偉大だね。それと母親が死んだこともあって親子の交流の描写が増えて、親子愛が作品の軸になったのも今作の特徴か。そこもわかりやすくてよかった。作中じゃ大分若いときに死んだけど、実際は70代で死んだんすね。70代でガンなら現在でも全然おかしくないし、まあまあ長生きしてるほうじゃない?ていうか医者に言われたらタバコやめなよ。全作通してタバコめっちゃ吸うなって思ったけど、やっぱりタバコは体に毒だね。
 アクションシーンはイップマン以外の格闘シーンも多く、キャラクターごとに戦闘スタイルが違うのが楽しい。ブルースリーがストリートファイトするところは、あまりイップマンが使わないフェイントを多用してたり、ファンサービス的なヌンチャクもこれ見よがしに入れていたのがよかった。あの青い道着のおっちゃんはただの通りすがりなんだろうか。急に出てきたからめっちゃ笑ってしまった。教官とイップマンのバトルは、パワーの教官とスピードのイップマンという感じで一進一退の戦いが楽しい。イップマンがダウンしてたときに教官がとどめ刺してたら勝ってた気もするけどそれは野暮か。まあ相手を殺すことが目的じゃないから相手が戦意を失っていない限り戦闘は続けるのか。別に教官に限ったわけじゃないが、このシリーズの敵は人格的に終わってるヤツであっても闘い自体は正々堂々だから面白い。
 木人椿は出だしのシーンでは定番だったが、今作ではラストシーンに。シリーズの終わりとしてキレイな締めだ。
ヤマニシ

ヤマニシ