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イップ・マン 完結のurugin777のレビュー・感想・評価

イップ・マン 完結(2019年製作の映画)
4.5
ドニー・イェンのイップ・マンはこれで最後か…。
そう思うと非常に目頭が熱くなる作品だった。

やはりこのシリーズは音楽や撮影の仕方がとても良い。
個人的にはイップ・マン/継承で綺麗に纏まった最後だったので完結ではどういう展開になるのだろう。少なからずブルース・リーは絡むんだろうなーと思ってはいたが予告編からその考えは的中した。

舞台はアメリカのサンフランシスコ。
イップ・マンは弟子のブルース・リーの試合を見に行くために渡米する、それより前に色々あるのだがネタバレになるので控える。そこで多くの中国武術家に出会うがブルース・リーの傲慢な態度や行動に難癖を付けられる。ここから一悶着あるのだが最終的には海兵隊の鬼軍曹にまで中国武術が目を付けられそこにイップ・マンも絡んでくる。

まず共演者にウー・ユエ。彼はSPL/狼たちの処刑台の役柄が非常にカッコ良かったので今回はどの様な役かと期待していたが非常に厳格な太極拳の師匠を演じていた。2作目「葉問」のサモ・ハン演じるホン師匠に似た風格だった気がする。しっかりとした見せ場も作られている。
そして海兵隊員にヴァネス・ウー、彼の事はあまり詳しく知らないけど正義感があり勇敢な若者と言うイメージだった。
ブルース・リーには継承から続投してチャン・クォックワン。今回は出番も多くなりアクションシーンもあったのでニヤニヤしながら見ていた。それにしても彼はよく似ている。

敵役にクリス・コリンズ。彼は実際に海軍に所属していた事があるそう、見た目通り動きにパワーもスピードもあり見ごたえのある立ち回りを披露してくれた。狼たちの処刑台でもトニー・ジャーと戦ってたし。
そして今回のラスボスにスコット・アドキンス。何時もB級映画にばかり出てるけど…イップ・マンと最後に戦う大役を任されている、役柄だと分かってはいるが非常に憎たらしい、でも動きは素晴らしい…。前から身体能力の高さは知ってはいたがドニーが気に入っただけの事はある。
前作から続投してケント・チェンやロー・マン等も出演。今回はアメリカが舞台だったのでそこまで出番は多くは無かったが。

個人的に前作同様ドラマ成分多めで、国の違いに翻弄されるイップ・マンが描かれていると感じた。当時の米国と中国の違いと言うか…。更には成長した息子とも成長途中の反抗期や考え方の違い等で食い違う事も。
正直、今までのシリーズの中では内容が弱い感は否めなかった。まぁ四作も続けていれば流石にね。しかし全然面白いので気にし過ぎる必要は無し。

そしてやはりアクション。継承の時点でもうアクションが芸術の頂点レベルだったので今作のアクションが掠れたりしないかと思ったが…。
アクションは何時も通り見応え抜群でとても良かった。前作程の衝撃は受けなかったけれどウー・ユエとの手合わせもあるしクリス・コリンズとスコット・アドキンスとも素晴らしい戦いを繰り広げている。今回は前作より足技も若干多くなってるかなと感じた。そして相手の格闘スタイルに合わせたのか何処かリアルファイト感漂う立ち回りが随所見受けられたと思う。
ワイヤーを上手く使い凄い動きをする場面もあるが流石にそれは色んな意味で「おぉ…」と唸った、これだけシリーズを続けてきて飽きないアクションを作り続けられる事は非常に素晴らしい事だと感じる。

最後の方に今までの回想が流れた瞬間「あぁ、本当にドニーが演じるイップ師匠はこれが最後なんだなぁ」と思い映画館で少し涙したのは内緒の話。
もうドニー・イェンが演じるイップ・マンは見られないと思うが最後に相応しい作品だったのではなかろうか、映画館で見る価値は十分にある。
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