Charlie

ひとよのCharlieのネタバレレビュー・内容・結末

ひとよ(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ひとよ で人生が変わり、
ひとよ で前を向くきっかけができる。

子供達に激しい暴力を振るい続ける夫を殺した妻、稲村こはるは警察に出頭して刑期を務める。その長男、次男、長女(第三子)のきょうだいは、殺人者の子供として、それぞれの夢を叶えられないまま過ごしていた。そこに刑期を終えた後何年か経って母が帰ってくる。

ものすごく深刻なテーマなのに、どこか人間の滑稽な部分や"おかしみ"を滲ませている面白い作品です。

キャストの演技力は確かなものがありますし、中でもやはり田中裕子がどっしりと安定の実力で、見ていて気持ちがよい。なぜこういう実力者をもっと起用して評価しないのかなぁと思います。吉永小百合の何が良いのやら。

さて、この家族が経営しているタクシー会社に運転手として就職してくる佐々木蔵之介演じる堂下道生がどんな役割を果たしているのかと思って見ていたら、このキャラクターは元反社という設定で、せっかく足を洗ったはずがシャブの運び屋をタクシーで運ぶしかなくなり、乗せたのが長年会っていなかった自分の息子という…こちらもまた親の犯罪によって子供の人生がおかしくなっている設定です。

自分がどんなに真っ当に生きようとしても息子から「親のせいで自分はこうなった」と責められた堂下は、夫を殺して子供に責められるこはるに自分を重ね、こはるを乗せてタクシーを暴走させます。

事情がある殺人なら正当化されるのか。
親子とは何か。
人間は弱くもあり強くもある。
など様々考えさせられる作品になっています。
Charlie

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