ある雨の夜、母が「お父さんを殺しました」と。
それまでの理不尽な暴力の日常から解放された3兄弟。
母が言うこれからは自由になれる。好きなことができる。
しかし、残された子供たちにとって、その自由を知るすべがなかった。
それまでの理不尽な暴力のために、家族を持ってもどう接すればいいのか、どう人を愛したらいいのかわからない長男。
美容師になりたかったけれど、それを挫折してスナックで刹那的に生きている長女。
地元を離れ、小説家になる夢を持ちつつも、下世話な週刊誌のライターをしている次男。
母が15年経って戻ってきたとき、タクシー会社のみんなの嬉しそうで、楽しそうにしている風景に違和感とその場に行くことのできない兄弟の見えない檻を感じる。
結局、長男も奥さんに暴力を振るっていたんだろうね。自分の言いたいことが上手く言えなくて、それを暴力でごまかしていたんだろうね。
母は子供たちのあのままにしてると、いつか殺されるんじゃないかという恐怖に追い込まれて、子供たちの将来のためにと殺人をしてしまったけれど、方法はきっと他にもあったと思うけど、自分が捕まった後の子供たちのことまで考える余裕はなかったんだろうね。
母とどう向き合えばいいのかわからない特に男兄弟たち。
そしてそれとは別に、タクシー会社にやってきた一見真面目そうな佐々木蔵之介演じる堂下も実は元やくざで、家族と離婚していた。
何年かぶりで息子に再会したけれど、その人時の楽しい時間が、後々の恐ろしい現実となって降りかかってくるのは恐ろしかった。
身体は大人になっても、気持ちは母がいなくなったあの日から止まってしまって、動き出すことが出来ずにいる。そこは、母としてわからなかったんだよね。
でも、堂下のやらかしに、ようやく、兄弟一丸となって母を助けに行くシーンは凄かった。堂下の息子にしても三兄弟にしても親の責任にしたりするけれど、すべてそうとは限らないし、まぁぶつけたい気持ちはわからなくはない。