のりまき

スケアリーストーリーズ 怖い本ののりまきのレビュー・感想・評価

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80年代にアメリカで流行ったホラー児童書がギジェルモ・デル・トロによって鮮やかに蘇る。
日本で言ったら『学校の怪談』みたいな感じかな?そこからチョイスした作品を、母が失踪したことから村八分になっている田舎の町暮しの少女を中心に展開している。流れものの男の子と仲良くなるシーンも実に自然で、さすがの脚本。児童文学が元だけあってテンプレとも言うべきエピソードばかりだが、風俗やTV画像を織り込んで時代を濃いめにのせていてノスタルジック。
特筆すべきはなんと言ってもクリーチャーでしょう。案山子のハロルド。足指女。蜘蛛の群れ。ラービット。バラバラ男。スティーブン・ガンメルのおっそろしいイラストが、とてつもない精度で再現されています。声が出るほどコワイ・・・。アメリカのお母様方はよくこれを読むことを許したな・・・。
監督は初見のアンドレ・ヴーヴレタル。コミック的な画割りをする方で、おそらくかなりのキューブリック好き。『ドクタースリープ』よりはるかに『シャイニング』でした。ワントーンでなく、パートによってカラーを変えているのも面白く、配色センスがとても良き。
衣装や小道具も見応えあり。革ジャケットやオールドカー、TVやタイプライターなど作り込まれている。建物や部屋もとても凝っていて、オギーのうちのスタイリッシュな台所や房付きのベッドカバー、ルルの緑のあるセピアカラーの家、幽霊屋敷の外観や過去の内装など手抜きのないいいお仕事でした。
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