シカク

デッド・ドント・ダイのシカクのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
3.7
"ジム・ジャームッシュがゾンビ映画を手掛けたら"

自分は好きだな!過小評価されてると思います!!確かに、彼の作品群の中ではライト目でかなり気の抜けたテイストではあるものの、ジム・ジャームッシュに求めてるものを、受け取った感は存分にある。

田舎町センターヴィルを舞台に、警察官のクリフ、ロニー、ミンディを中心に力の抜けた一切怖くないゾンビ映画(とはいえ多少のグロは有り)。町の変わり者ボブが農家から鶏を盗んだとの通報から始まり、極地の水圧破砕工事(シェールガスなどの採取)による時間軸のズレが原因で、夜になっても日が暮れない町の異変、地面から湧き出す蟻等、ただならぬ不穏な予兆のモンタージュが列挙されるが、全体的に呑気で緩い空気感で覆い包む、代名詞のoffbeatなジャームッシュ節は健在。

ティルダ・スウィントン演じる葬儀屋に勤め、日本刀を操るゼルダの群を抜いてのクセの凄さ、好き過ぎる。後、ゾンビから噴き出るのが、血ではなく黒い煙みたいなのも斬新。飄々としたクリフとロニーに反して、しっかりと怯えるミンディ、遠目から冷めた眼差しを向けるボブ、と癖のある個性派をしっかり色分けし、コントラストを出して、調和をとるのは監督の手腕。映画考察サイトで本作品は、消費社会を皮肉るシークエンスがあるみたいで、確かに納得はいくし、それを抜きにしたったて暇な時に、軽く観て楽しむには持ってこいのよく出来た、笑えるゾンビ映画。
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