ジム・ジャームッシュ×ゾンビ…一筋縄でいかないのは承知の上。にも関わらず予告編から予想していた展開よりも遥か斜め上行く好物の"なんじゃコリャ"な作品でした。(特にティルダ・スウィントン扮するゼルダ・ウィンストン〈!?〉の去就にはお口アングリ笑)
前作『パターソン』では情報過多で大仰な昨今の映像作品に対するある種の解毒剤になる事を意図したと語っていたジム・ジャームッシュ監督。
今作製作に当たっては、スマホに見入っていてばかりで他人の事には無関心で自分本位な街中に溢れかえる所謂"スマホ・ゾンビ"からインスピレーションを得たと語っています。
そんな昨今の風潮に対するアンチテーゼやメッセージを内包しつつも、今迄に数多作られたゾンビ映画とは一味も二味も違う作風は流石はジム・ジャームッシュ監督の為せる業。彼に所縁のある新旧キャスト陣が肩肘張らずに楽しんで演じているのも一興。
Wi-Fi…
Bluetooth…
お菓子…
劇中、ゾンビ達が欲する物を探し求めてフラフラと彷徨う姿を見ながら、さて自分だったら何かな?と想像…。
「愛、優しさ、安らぎ…」
なんて清く正しく美しいものではなく、
「給付金、車検代、ボーナス…」
今作で真っ先にゾンビになり頭を吹っ飛ばされる資格を有する自分につくづく嫌になりました…。
余談:
約4ヶ月振りの劇場での鑑賞はやはり格別なものでした。入口での検温、間隔空けの座席、従業員のフェイスガード…以前とは違う異質な光景には悲嘆に暮れましたが、一映画ファンとして劇場で鑑賞出来る事の喜びと楽しさと感謝を噛み締めつつ、今後もルールとマナーをしっかり守っていこうと強く心に誓った次第です。