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デッド・ドント・ダイのchickenheartのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
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 ジャームッシュを長年追っかけてきた身としてはやはり引っかかるなあ、という感じがあった。事件性のなさを徹底的に肯定した『パターソン』と比較すると事件性のなさとパニック・エンタメとが不均衡になってなし崩しになっているというか、中々の中途半端ぶり。
 惨死体が初めて発見される下りのギャグセンスは「やっぱりオレジャームッシュが好きなんだなあ」と思ったけど、それ以外のユーモアは明らかに火力不足。『パターソン』で「救いがある」感覚をすくったジャームッシュだったが、なんとも言えない本作の薄暗いストーリーの「救いのなさ」をみてみると、(劇中でもネタにされてる)〈トランプのアメリカ〉的な現実に参ってしまったのかな。ジャームッシュの才能より心労が前面に出てしまった。A・ドライバー特有の絶妙な浮ついた雰囲気を醸し出すことには成功している。
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