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雪に願うことのmuraのレビュー・感想・評価

雪に願うこと(2005年製作の映画)
4.3
湯布院映画祭。今年は佐藤浩市特集。佐藤浩市をゲストに迎えて。観客も多い。

「あ、春」に続いて「雪に願うこと」。いい監督に使われる俳優だなと。確かにシンポジウムでの話も深い。そして面白い。演技と映画作りへの強いこだわりを感じる。

輓馬(ばんば)。帯広競馬場で開催されるばんえい競馬。そこで厩舎を経営する兄のもとに、13年ぶりに弟がもどって来る。弟は東京での会社経営に失敗、一文無しに。兄と対立しつつも厩舎で働くこととなり、しだいに馬に魅せられていく…

勝つことがすべてだった男に、「勝負は勝ち負けだけじゃない」と言わせるための話ともいえるか。

家族や田舎を捨てて華やかな生活を送っていた男が挫折、それが家族や田舎に癒されて前を向く…ありそうな話だけど、そこに「ばんば」を介在させるところがこの映画の面白いところか。

ちなみに、脚本は加藤正人。根岸吉太郎は何も言わず、ただ首を傾げるだけと。で、脚本は34稿を重ねたと。そういうことを知ることができるシンポジウムは楽しい。

公開のとき以来に見たが、夜明けに輓馬が走る、その美しい風景にあのときも感動を覚えたなと。
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