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9人の翻訳家 囚われたベストセラーのmのレビュー・感想・評価

3.0
どんでん返しだが都合が良い。メッセージ性を押し出したいラストだが、そこまでの道のりが少々雑というか、どんでん返しさせたいだけの演出だったように思える。

どんでん返しと聞いて観たくなった作品。確かに二転三転する中でどんでん返しではあったけれど、都合が良すぎるというか、前半の地下室での犯人探しは必要だったのかしら?というイメージを持ってしまった。

全世界待望のミステリー小説、完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた。翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく。しかしある夜、出版社社長のもとに脅迫メールが届く。そんなストーリー。

まず地下室に隔離した状態で翻訳するなんてそんなやり辛い仕事があるのか!と思ったんだけど、『ロバート・ラングドン』シリーズの4作目『インフェルノ』で実際に行っていたのか!ダン・ブラウンさんやるなぁ笑
作中でも言われていたけれど、翻訳するのに作品一通り読ませてもらえず、毎日20ページだけの作業というのは、翻訳があっているのか分からずやり難い作業よね。

作品のラスト、犯人が分かる瞬間に私たちに問い掛けられる問題提起。それについては文学や芸術に愛があり良かったと思う。考えなければならない問題だ。
けれど、それについてもう少し詳しく描いて欲しかった感覚はある。『インフェルノ』で実際に行われたことに触発されたけれど、一応問題提起もしなきゃ!みたいな軽い感じ。犯人探しやら地下でわちゃわちゃするより、そちらの方が大事に描いて欲しかった。どんでん返しの付属品みたいなイメージ。翻訳という設定もあまり活かされていない。

また、もし地下でのやりとりをより見せたいのならもう少しハラハラしたのにして欲しかったなぁ。なんか、出版社のオーナー(ランベール・ウィルソンさん)がモラハラだなぁ、としか思えず…。

犯人が計画を実行している時はスピード感がありハラハラドキドキ出来た。そこは面白かった。
二転三転の仕方は美しかったです。こんな畳み掛けるようなストーリー展開アリなのか?!とかっこいいなぁと思いながら見た。だからこそよりひとつひとつを大事に描いて欲しかったかな。

9人っていうのも少々多いよね。もう少し少人数にして、個々の人物を掘り下げて欲しい。

文句を言いましたが面白かったです。
日本製のコピー機は素晴らしいそうですよ!

ストーリー : ★★★☆☆
映像 : ★★☆☆
設定 : ★★☆☆☆
キャスト: ★★☆☆☆(オルガ・キュリレンコさんミステリアスで美しかった)
メッセージ性 : ★★☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/あなたは、この結末を「誤訳」する。
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