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サスペリア PART2 完全版のすずのレビュー・感想・評価

サスペリア PART2 完全版(1975年製作の映画)
4.5
〝超心理学会〟に招かれたテレパシストのヘルガ•ウルマンは講演中に突然 錯乱状態になる。この会場にいる何者かから伝わる強烈な殺意のイメージ。過去の殺人と、新たな悲劇を予見する。

ジャズピアニストのマーク(デヴィッド•ヘミングス)は、街路で酔い潰れた友人のカルロと語り合うなか、突如 女性の悲鳴を聞く。ふと見上げた視界の先には、まさに惨劇の瞬間が…。現場へ駆け込んだマークはヘルガの遺体を確認し、窓の外を見下ろすと歩き去る〝茶色のレインコート姿〟の犯人の背中…。この事件にどこか強い関心を抱いたマークは、独自で犯人探しを始める。

犯人の背景を知る ヘルガ•ウルマン の死と共に霧散した真実へ改めて迫る、謎が謎を呼ぶ、アルジェント作品の中でもかなり濃厚なミステリー•スリラー作品。

新聞記者のジャンナ(ダリア•ニコロディ)とのバディものかと思いきや、ほぼマークの単独行動で展開する。この2人のやり取りがめちゃくちゃ可愛くて、微笑ましくて凄い好きだったので、もっと一緒にやって欲しかったけど。ハードタッチな本作のバランスとしては、絶妙なアクセントになっていたのだと思う。コメディエンヌとしての快活なダリア•ニコロディが観られるのも本作の魅力では。いつもクールな印象の彼女が、本作では凄く可愛らしかった。

ジャッロ映画の雄であるダリオ•アルジェント作品に頻出する方法論としては、怪奇、惨虐、コメディ、お色気のマリアージュであると思うけど、本作にはいつものお色気もなく、コメディ要素も抑えて、より硬派な印象を受ける。脚本を共著したベルナルディーノ•ザッポーニとの化学反応か。そして、実に挑戦的な映像トリックを用いて魅せる件のシーンは終幕と共に唸らされる。重厚で正統派な佇まいのダリオ•アルジェント式ミステリー作品。そしてタイトルの『サスペリアPART2』はやっぱり違う。イヤだ。笑
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