みかんぼうや

わたしは光をにぎっているのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
2.9
う~ん、これは合わなかった。作品の雰囲気は素敵だと思うのですが、どうも作品全体を通じてリアリティを感じられず・・・いい映画なのだろうけど、個人的にフックとなるものや訴えかけるものが無かったです。

こういった日常を淡々と見せながら若者の成長を描く作品には、ついリアリティか登場人物への共感を求めてしまうのですが、なぜか登場人物の台詞やシチュエーションに“作られた感”を感じてしまったことと、主人公である澪のキャラクター設定にもあまり共感ポイントがありませんでした(普通にいい子で、松本穂香の演技も上手ですが)。

おそらく、上京してきたばかりで何も知らない無垢な主人公と、どこか都会生活で擦れた東京人たち(みかん湯で激しく文句を言う母親も、人前で堂々と不倫する男女も)という分かりやすい対比的構造があまりにもステレオタイプ的で、リアリティを感じられず、作品からちょっと引いてしまった部分があるのかもしれません。

それ故に、 “場所と思い出の喪失”という後半のメインテーマ部分にもあまり説得力を感じず心に沁み込んできませんでした。ラストシーンもちょっと苦手。

ただ、自分は幼稚園からずっと東京育ちなので、このあたりの“外から見た東京”や“一人で上京し都会生活に慣れることの難しさ”という感覚が他の方よりも薄く、もし主人公と同じような環境であったら、作品全体に感じた不自然さや作品そのものの捉え方が全く異なっていたのかもしれません。
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