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わたしは光をにぎっているのkのレビュー・感想・評価

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
4.0
タイトルは、劇中にも何度か登場する山村暮鳥の詩から。監督は詩人でもある。
ある町に人が集う。人が集うから町になったのか。町が先で人が住み着いたのか。場所にも人にも終わりはくる。いつか訪れる終わりのために、私たちは光を引き継ぎ、誰かへ手渡す使命がある。それはときに言葉であり、映像であり、写真であり、常連さんの笑い声であり、生きるための水だ。
船の中(おそらく澪の見る夢)、湖の水面を見つめながら、祖母の魂と語り合う場面が印象深い。静かに波立つ水面と、そこにそよぐ風までも見える。一年後、銭湯の番台に「しゃんと」腰掛ける澪。うつくしく、けれど実直に「終わり」を見送る、ささやかな再生まで描き切った、力強い作品だと思う。
松本穂香の出演映画を観るのは初めてだと思うが、好きな女優さんが増えた。松本妃代さんも出演されていて、活躍されている様子で嬉しい。
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