このレビューはネタバレを含みます
今年観た映画で一番よかったです。別に私がカネコアヤノ が大好きだからえこひいきしてるわけではないです。
自分を守るために多くを語らなかったり、ウザいくらいにキョドる松本穂香にイライラしたけど、それは自分を見ているかのようだったからわけで。別にわたしもすきでキョドッテルわけじゃないです。怖いからです。でも大事な時には大きな声を出すし、挨拶もちゃんとするし。新しい環境に身を置いている今のわたしにすごく刺さりました。
それから、映画でこんなにも詩や言葉への愛を感じたのははじめてです。詩の朗読を映像とともにされると、胡散臭さをいつも感じてしまっていたけど、この作品ではむしろ詩や言葉の力をより大きくさせていたと思う。言葉があればわたしは生きていけるということを改めて強く感じたし、それは私の心がなくならない限り私は私でいられるということも気付かされました。
カネコアヤノ は映画を観てから作詞したそうです。作品でも朗読される圧倒的な存在感のある詩があるにもかかわらず、どうにも比べられない『光の方へ』という歌詞を書いたのがすごいです。
エンドロールへの切り替わり方はよかったけど、先に曲を聴いていたからミスマッチな気がしてしまった。映画で初めてこの曲を聴いていたらもっと違ったかもしれないです。
でも、失われてゆく景色の終わりをどう迎えるかを考えるこの映画は、かなしさを否定せずに前向きな終わり方をしていたから、『光の方へ』という明るい曲調でせつない歌詞のこの曲は合っているのかもしれないともおもいました。
監督は詩人としても活動されているそうなので、そちらの方もこれからの活動が楽しみです。今年この映画が観れて本当に良かったです。ありがとうございました。