風の旅人

アリー/スター誕生:アンコール・バージョンの風の旅人のレビュー・感想・評価

5.0
冒頭、ライヴを終え、車に乗り込むなり咳き込み、酒を搔っ食らうジャクソン(ブラッドリー・クーパー)。
車窓からは首吊りのロープを連想させる看板が見え、破滅への道の途上にあることが示唆される。
劇中歌の「Maybe It's Time」や「Shallow」の歌詞にあるように、本作のテーマは「変化」だろう。
決して変われない男と変わっていく女。
ジャクソンにとってアリー(レディー・ガガ)は崖の手前に咲いた救いの花であり、アリーにとってジャクソンはスターになるためのメンターだった。
若く才能があり上昇線を描くアリーと、かつてのスターで下降線をたどるジャクソンとでは、初めから結末が見えていた。
だからこそ物語は序盤にクライマックスを迎え、中盤の中弛みを挟み、終盤の予定調和へと帰着する。
別段驚きのないこの物語が、何度もリメイクされ、観客の支持を得てきたのは、その普遍性にある。
映画が終わり、音楽が鳴り止んでも、僕達は二人を忘れない。
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