えいがうるふ

アリー/スター誕生:アンコール・バージョンのえいがうるふのレビュー・感想・評価

4.5
うん。やはり歌映画は主人公の歌唱力が命だ。もちろん音楽性の好みは分かれるので、それさえ合致すれば最強。言いたいことはほぼそれに尽きる。
Shallowは何度聴いても勝手に涙が出てしまう。奇抜なファッションと立ちまくりのキャラの印象ばかりが強かったレディ・ガガが素顔で見せたその実力。心の底から見直した。

個人的に一番好きなシーン、というか展開は、二人が出会った夜に立ち寄ったスーパーから、翌日のジャックのライブに飛び入り出演するまでの一連の流れ。
出会ったばかりの大スターに、駐車場でほんのワンコーラス自作の歌を歌ってみせたアリー。一方のジャックはその断片的なアカペラを聴いただけでアリーのソングライティングの才能を見抜き、翌日のライブまでに曲を完成させ、いきなりの大舞台に尻込みするアリーをイントロで魅了して思わず歩みださせる程の名曲に仕上げてみせ、ミュージシャンとしてのジャックの実力をさりげなく見せつけた。
二人が駐車場で別れてから翌日ステージで再会するまでの間に、ジャックがどれほどのことを成し遂げたか。曲を完成させるだけでなく、バンド用に編曲しリハも行い、当然ながらアリーが現場に駆けつけられる時間も計算して周到にセットリストも演出も変更し、バンドメンバーからPAからあらゆるスタッフに変更を周知させ、リハで完璧に合わせ・・・ま、実際にはあの規模のコンサートでそんなことができるわきゃないのだが、そこは映画だ夢を見せようじゃないか。
クーパーはこれが初監督作品とのことだが、彼はこれまでのキャリアからそこらへんの「映画だからこそ実現できる、実際にはできそうでできないこと」の価値をよく分かってるんじゃないかと思った。

あと、なにげに伏線となっている兄弟ストーリーもよかった。
弟からのまさかの告白に涙をこらえつつ車を出す兄の抑えた顔演技が心憎い。うう。
トドメは終盤の回想シーン。ベタofベタなのにやっぱり泣いてしまう。うう。悔しい。

そしてこの映画をアンコールバージョンで上映してくれたギンレイシネマに感謝!音楽好きは絶対こっちを見るべし!!