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パラサイト 半地下の家族のMykeのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

半地下に住む、いわゆる貧困層の家族が、
高台の高級住宅地に住む富裕層の家族へ
パラサイト(寄生生物)
として生きていく物語であるが、

富裕層一家も、家政婦や運転手を雇っていたり
妻は、夫に精神的に支配されていたり、、、。

どんな人であっても、結局人は、人に頼って
頼られて生きているんだなぁと思った。

半地下の下には、さらに地下があったわけだが
なぜ地下ではなく、
“半”地下をタイトルにしたのか。

半地下の家族は、
あそこまで企てれるほど頭が良く、
環境に馴染むための嘘の演技もうまい。
なのに、「計画的に」生きたくても生きられない
不条理な世の中に従うしかなく
半地下へ追いやられてしまったのだが、

なんと、パク家の元家政婦だったムングァン夫婦は
半地下ではなく、“地下”に住んでいたのだった。

そんな劣悪な環境でしか生きられない人達が
映画の中だけの話ではなく、世の中に、
いや世界中には沢山溢れているという
知らしめのメッセージがあるのだと感じた。

(このような格差社会は
韓国だけの問題じゃないと思う。日本にだって
地下鉄にはホームレスの方々がいるし、
今回のコロナによって
さらに浮き彫りになってきている。)

そして人間は、
インドのカースト制度などにもあるように、
人に階級をつけたがる。
自分より下だと思った人を見て
安心したりマウントをとりがちであるのだ。

そして、自分が上に行くためには、
あのシーンのように、容赦なく人を地下へ蹴落とす。
それは本来、
人間に備わっている生きるための本能なのか。
慢心によるものなのか。
いずれにせよ醜いなと思うが、色々と考えさせられた。

その他、「貧乏くさい」
という言葉を象徴した臭いの表現があったが、

ただ、どんな登場人物にも
「家族を守る」という本能的な“人間くささ”は
それぞれの形で、溢れていたようにも感じた。


この映画では、上から下へ、下から上へ
舐めまわすようなカメラアングルでの格差の表現が目立った。

最後、殺人を犯してしまった父が生きるためには
“地下”という選択しかなかったわけだが、
殺人は人として最も【最“低”】な行為であるが、
他にも、“低”俗や、“低”迷など
“低”という下をさす言葉は、
マイナスな意味を持つ事柄に
使われることが多い気がするなぁと思った。
そして、
汚水などの“下”水は、高台の富裕層には影響がなく
全て地下へと流れてしまうシーンがあった。


◯印象に残ったお芝居
・「計画を立てると必ず、人生そのとおりにいかない。
(中略)最初から計画がなければ何が起きても関係ない。
人を殺そうが、国を売ろうが知ったこっちゃない。
わかったか?」という父の息子へのあの言葉は、
社会に対する嘆きと受け入れ、そして諦めを感じた
と同時に、父の感情の「無」が全身から伝わった。
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