どぅぐ

パラサイト 半地下の家族のどぅぐのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

Netflixで鑑賞。

韓国映画は、『82年生まれ、キム・ジヨン
』ぶりだった。
あれは、韓国女性の今を知るのにうってつけな、素晴らしい作品の一つだったが、この『パラサイト』も負けず劣らず、隣国の「今」を突きつけてきた。

端的に言えば、これは、韓国の格差社会をシリアスとコメディを巧妙に織り交ぜながら描いた作品であった。

登場人物は、それぞれが魅力的だった。中でも、主人公の妹ギジョンが、1番、好感度が高い。物分りが良く、肝が座っている。主人公ギウに頼りない部分があるため、その存在を補完する形で彼女が強い女性として描かれているのだろう。

半地下の家族は、お金は無くとも、愛に溢れている。狭く小さなテーブルで、家族4人が団欒する。父親は、息子と娘をよく褒める。
路上の酔っぱらいを、皆で笑って眺めるシーンも、懐の広さのようなものを感じた。

キム家は、富裕層。
こういう場合、あからさまな対照性を持たせがちだが(例えば、愛が全くない家族、憎たらしい子供)、この作品では、そこまで極端な事はしないようだ。監督ポン・ジュノは、極端を嫌うのだろう。
それぞれ家族を愛しているし、子供たちも、育ちが良い。母だけは、確かに騙されやすいが、愛ゆえの盲目で、誰もが陥るものだろう。

物語展開は、テンポが良く飽きがこなかった。一段落つき、そろそろ家族の正体がバレるフェーズに入るだろう
と、観客の注目が向かう矢先、新たな仕掛けが発動した。成程、そう来るのかと、思わずサムズアップしたくなった。
結末は、悲劇的だが、シリアスさに寄りすぎない丁度よさがあった。
善良なはずの主人公の父の心情の変化とあの行為は、カミュの『異邦人』を彷彿とさせる。人間は、残忍な性格でなくとも、事実、突発的にあのような行為に走ることがある。これで説明はつく。

舞台場所の街並みは、とにかく坂が多く、歪な配置をしていた。
主人公たちがパク家から、半地下まで移動する時、とにかく下へ下へと下がっていくシーンがあるが、これは、家の標高のみならず、社会的地位の差も同時に表している気がした。
調べてみると、ここは、貧困層が、居住地として許可されていない場所に、不法滞在して勝手に作った街らしい。
なるほど、そんな背景がある場所を舞台として選んだのかと。韓国人は、この作品をどう捉えているのだろうか。人によっては、恥ずかしい自国の闇の部分を見世物にしやがってと、憤るかもしれない。
格差物語は、得てして、富裕層ほど、悲しい現実だと嘆くものだ。

ポン・ジュノの別作品にも興味が湧いた。
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