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パラサイト 半地下の家族のasatoのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ひとつひとつに意味を感じる、丁寧に描かれた作品。
これほど問題提起を詰め込んだ盛り合わせはそうないんじゃないか、そしてそんなところが評価されているのだと思う。

観終わって、不条理という言葉が心に残った。

作中の皆、善人で各々の階層の中で必死に生きているが、計画通りに人生を送れた人はいない。
では父親が言うように無計画に生きれば良いのか?それは確かに決して失敗しない唯一の道だ。
でも、そもそも無計画に生きることなんか出来るのだろうか。意思を持った存在にそれは叶わない様に思える。
少なくとも長男は明確な目標を立てる事にした。それが到底、実現不可能で抱くだけ絶望的で悲しくなったとしても。(そう、実現に不可欠な要素は勢いだ)
父親もいつの日か息子に届けば良いとモールス信号を送り続けている。

結局のところ、どんな階層の人間でも希望(計画)を持たずに生きることは出来ない。
そして不条理だけは階層問わず、平等である事をみせられたと感じた。

話は圧倒的に悲劇なんだけど、そこまで強い描写じゃない。むしろ皮肉っぽく、コメディタッチで良かった。
特に「半地下」の本当の意味がわかったところなんか最高だった。
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