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パラサイト 半地下の家族のmのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.0
これほどまでに緻密さに織りなされる人間模様、またさり気ないメタファーがあったか。
アカデミー賞を取られ、また評判の良さに納得の嵐。

私はアカデミー賞よりカンヌのある視点部門など、そういった作品がとても好きで奇抜さ、メタファーのわかり辛さの中でどうにか自分の中に落とし込めた瞬間が好きだ。
アカデミー賞はとてもメッセージ性が強い。私にはとても押し付けがましく(差別などの問題提起)一応把握してはいるものの積極的には観ない。
今作は神木隆之介さんを声優に迎えた地上波をちらっと観て、面白そうだったので鑑賞。
とてもうまい作りで唸ってしまった。

今、恐ろしい勢いで活動しているKing Gnu。その先頭に立ち、すべてを掌握している常田大希さん。彼のインタビューを読んだか見たかした時、「売れる為に白日にサビをつけた。売れるものを作った」(そんな近しい事)と言っていたのを思い出した。
今作もカンヌのある視点部門のように、もっと分かり難い、分かる人だけのメタファーを入れ込むことは簡単だったと思う。
けれど、今作はとても分かり易いメタファー、そしてどこか身構えないキャッチーな入りになっている。そこが、監督の腕、センスだと感じてしまった。監督は売れる為というよりかは、問題提起をより色濃く出す為の手段だったように私は感じる。この巧みさが賞レースに勝ったというのもあるにはあると思うが。

寄生していく様はどこかワクワクさせ、また彼ら家族の作戦が成功していくのに「やったれ!」と応援していたが、節々から感じられる貧困、寄生からの転落。急展開していくストーリーは見もの。コメディ、サスペンス、クライム、この流れは凄いと思う。
バレないように!とハラハラドキドキしながら、そのあとの監督がメタファーとして描いた雨に胸を締め付けられた。
ソン・ガンホさん演じたギテクの無責任な言葉、ここにすべてが詰め込まれている。

構図、メタファー、カメラワーク、そのどれもが問題提起を演出するのにひと役買っており、人物描写も巧み。ストーリー展開も、そしてラストの虚無感も、本当に素晴らしかった。

今作でアカデミー賞を取られたポン・ジュノ監督。アカデミー賞発表の舞台で話されたスピーチに胸を打たれた。
あの大きな舞台でマーティン・スコセッシ監督に敬意を表し、クエンティン・タランティーノ監督に感謝を述べた。監督の人間性、そして映画愛を強く感じられた。

とても面白かった!

ただ!しかし!アレルギー持ちの人間から言わせていただくなら!今作を真似しないで下さい!!

追求
King Gnuさん、大好きです。

ストーリー : ★★★★★
映像 : ★★★★☆(俳優のベストな演技がいいとCGを多用したの凄い)
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★★★☆
メッセージ性 : ★★★★☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆(共感できる!とは烏滸がましくも言えない)

cc/幸せ 少し いただきます
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