のりまき

パラサイト 半地下の家族ののりまきのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
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アジアに初オスカーをもたらした韓国映画気合いの一作。

番宣では策を弄して金持ち一家に侵入していく貧しい一家・・・という解説だったので「あー、『ルームメイト』や『リプリー』系ね」と思っていたら誤解でした!もっと分を弁えた小市民でした!
象徴的なアイテムを散りばめた(というかこってりなすりつけた)悲喜劇の入り交じった家族の肖像。
ギリシャの町を歩いていて、ふと視線を感じてキョロキョロしたら足元の窓にお婆さんの顔が見えてギョッとしたことを思い出した。ギリシャの半地下は強烈な日差しから逃れるための必然に思えるが、寒冷地の半地下って・・・。謎に思って調べてみると、1970年北からのテロに悩まされた政府が建築法に防空壕としての地下室を義務付けたもので、これが80年代の住宅不足から賃貸契約することを解禁され生まれた見えないスラム街(というとちょっと大袈裟)らしい。日本で言えば四畳半風呂なしアパートのイメージか?単身の若者が住んでる分には「他にお金かけるとこあるもんね」レベルか。でも家族4人で住んでるというのはかなりのプロブレム。あーこれ、韓国版『天国と地獄』か。
言われてみれば御屋敷の立地もドンピシャ。
ロマンティストな息子や妖怪じみた娘に惑わされるが、やはり主役は無能な父。善人なのに何故かめぐり合わせが悪く、愛する家族を半地下に引きずり込んでしまう男。ソン・ガンホ。名演でした。貧乏の匂いをこびりつかせた男の矜恃。とてつもない説得力でした。
漫画家を目指していたポン・ジュノ監督。今までの作品では画が先行して興醒めしてしまうこともありましたが、この作品ではその画づくりが素晴らしい効果を上げています。また白黒バージョンをあげたこともグッジョブです!
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