レオン

パラサイト 半地下の家族のレオンのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.6
ユニークだが登場人物に感情移入出来ない
結論からいうとアメリカ本国の作品をさしおいてまで、
アカデミー作品賞を獲るほどの出来か?と感じました。

まず、登場人物の性格が分からない・・・・。 
というか、そういう描写があまりない・・。
素晴らしい作品には、必ず多様な性格の人物が多数描かれていて、
観客がその役柄を好きになってしまう、
あるいはある事に必死に耐える人物に同情してしまう・・。
というようなその登場人物の性格がありありと表現されている描写が、
その映画の魅力にもなったりするのですが、
この映画には、人物の奥底が見えるシーンがほとんどありません。

冒頭、主人公は人のよさそうな人物に見えますが、友達から意中の女の子に変な虫が付かないようにと、
自分に託された事を簡単に裏切ってしまう。
そのお父さんも、普段はおとなしいがいざ怒ると大変というような描写がないにもかかわらず、ラストで・・・。 
他の人物も、こういう癖があるけど、本当はこういう人・・・などの人物が分かる描写がない・・。
すなわち、感情移入出来るシーンがほとんどない・・。

物語的にはかなりユニークで、ああだからパラサイトなのか・・と思わせる点は面白いですが、
ぐいぐいストーリーに引き込む・・というほどの緊迫感はなく、淡々と進んでいくように感じました。
まあ生活感というか生活臭がリアルに伝わってくる様なシーンは度々ありますが、
うまい!と感じるほどでは私的になかったです。
全体を通していえば、描写、物語、演技、バイオレンス的なアクションなど全て80点台で高評価だが、
突き抜けてる点がなく、
音楽アルバムでいえば、力作だが、大ヒットシングルはなし・・的なイメージでした。
(欧米の方には、こういうアジアの生活感溢れる作品は、
かなりリアルに感じて、少しショックに見えたかもしれず、
高評価につながったのかもしれませんね。)

今回の他のアカデミーノミネート作品は「ジョーカー」「ワンスアポン・ア・・」「アイリッシュマン」「フォードvsフェラーリ」「マリッジストーリー」の5本を見ましたが、
私的には前記4本のほうがこの作品より評価が上でした。
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