このレビューはネタバレを含みます
日本人特有の判官贔屓で主人公サイドを応援してみたり、同情心からか「はよ気付けよ」と上層階級に対して思ってみたり、下層からの視点ならではの、どちらの側に対しても心理的共感を持つことが出来る作品であった。途中に作品の単純な対立構造に割って入って最下層の人間達が登場する。弱みを見せた下層階級につけ入り、成り変わろうと欲を見せるが逆襲されてしまう。最下層の当人達自身は心底、上層階級を慕っている(信仰の域)ようでそれ以上は求めていなかった。下層階級は欲を満たしきれず、上層階級の地位を求め始める。しかし、最終的にその目論みは最下層階級の革命で霧散し、下層階級の悪あがきで上層階級が追放される事になり、この物語は一応の終幕を見るのだ。そしてその家には誰もいなくなる。ある意味人類の階層における構造を上手く現代社会に落とし込んだ風刺的作品だと思う
