Kawaguchi

パラサイト 半地下の家族のKawaguchiのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.4
2021/1/8追記

長女ギジョンだけは特別なんだよね。
彼女だけは、自分の能力で仕事を得て、真剣に教育に取り組み、それなりに成果もでてるんだと思います。しかし、最終的に彼女だけは殺されてしまいます。

初めて見た時、なぜ彼女だけが殺されなければいけなかったのか、分かりませんでしたが、
これって、「韓国社会における抑圧されている女性」と「自己責任だけでは抜け出せない構造上の問題」のメタファーなんじゃないかな。

能力もある。やる気もある。しかし、評価されない・仕事もない。=生きていけない。洪水のシークエンスで彼女は半地下で1番高い所にあるトイレで一服します。なにかを諦めたような疲れ切った表情で。


2020/4/17追記 

同時代に「万引き家族」「わたしは、ダニエル・ブレイク」など、貧困の格差や、福祉のシステムの不条理さを描いた作品が作られている事について、私たちは考えなくてはいけない。

特筆すべき点は、今語られるべき「格差社会」と「気候変動」の2つのテーマを描いた作品がアジアの韓国から生まれた事です。気候変動で真っ先に被害がでるのが、低所得で、半地下に暮している貧しい人々です。トリクルダウンは起こらず(大企業や富裕層からお金は落ちてこず)、害悪だけ貧困層に落ちてきます。


 年始に韓国に行った際に、居酒屋のお兄さんに話しかけられました。「是枝裕和監督は日本ではどの立ち位置にいますか?」と。すべての人ではないだろうけど、韓国の人々の映画の観てる本数がこの結果に繋がってると思います。日本映画が凄かった時代は、日本人がメチャクチャたくさん映画を見ていた時代。数を観なければ映画を観る目も養われない。他のアートフォームにそのまま適用できるかどうかはわからないけれど、映画に関してはものすごく単純な話だと思う。
 
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