ShotaOkumura

パラサイト 半地下の家族のShotaOkumuraのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.6
『万引き家族』につづいて見事カンヌのパルムドールを受賞した本作。ポン・ジュノ監督の映画は『オクジャ』しか観ていないけど、この方とにかく毒気がすごい。描いている題材は『万引き家族』と共通している部分があり、共鳴するようにこのアジア映画がまたパルムドールを取ったことは全く偶然ではないように思う。
さらに言えばその前の前に受賞したのはケン・ローチ監督の『私はダニエル・ブレイク』で、これもまた労働階級の家族をテーマにしている(まだ観てないんですけどね…)。
さらにさらに言うと、昨年『ジョーカー』が大ヒットして賛否両論を生んだ。
どれもが明確に“生活の格差”を象徴的に描いていて、その中でも本作は最も強烈で露骨に提示してみせた気がします。
正直言えば、普遍的ないつの時代も輝くような傑作ではないと思うんですよ。だけど、だからこそ傑作だと感じるものがある。変な言い方ですが。
もちろんエンタメとしてもめちゃくちゃ面白いです。

僕はこの『パラサイト』が今パルムドールを受賞したことは本当に象徴的なことだと思うし、その他の色々な表現や社会運動を見ていると、世界中の人たち、社会が、今何を感じ始めていて、どう動き始めようとしているのかをじわじわと感じます。
映画は時代を映す鏡として本当に優れているなあと改めて思いました。
そして何故だか韓国に行ってみたいという気になったし、日韓関係最悪の今だからこそ沢山の人がこれを観て色んなことを感じて欲しいと思いました。
古臭いもはや誰も必要としないような哲学が、ぐるりと回ってまた人々に必要とされる世の中になってきている気がします。
ShotaOkumura

ShotaOkumura