このレビューはネタバレを含みます
働き口を見つけるには、まず貧しさを隠すこと。
冒頭から皮肉な現状を突きつけられた。
あの夫婦にとっては、使用人の不祥事は自然災害と同じように突然降りかかった災難で、自分たちの世界から排除することで「解決」できてしまう。
お金の力で見たくないもの全部にフタをする姿には、現実世界のあんなことやこんなことが連想された。
ところで、あの夫婦を見て笑ってしまった瞬間が何度かあって。
妻の信じ込みやすさとか、夫の大げさに有能ぶった振舞いとか。
そのときの自分は、恵まれてる人は多少貶めたっていい、っていう、逆転した見下し?嘲りの気持ちがあったと思う。
恵まれてるならそれに見合うだけ立派であるべき、って押し付けも。
あの人たちに直接何かを奪われたわけじゃないのに、この被害者意識は何なんだろう。自分が気持ち悪くなった。
部外者でいられる瞬間がなくてめちゃくちゃしんどいけど、期待以上に面白かった。
事情を知ったいまの状態で、最初の方とかもう一度見返してみたい。