ジェイコブ

パラサイト 半地下の家族のジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

主人公のギテク一家は半地下で暮らす貧困層。大卒でもまともな職につけない社会情勢の中、一家は内職をしながらその日暮しに明け暮れていた。そんなある日、長男ギウの親友から、豪邸に住む富裕層のパク家に家庭教師の依頼を受ける。ギウはパク家を訪れ、まるで別世界のような豪華絢爛な家を見て、ある計画を思いつく……。
「殺人の追憶」のポン・ジュノ監督作品。文字通り世界を席巻したと言っても過言ではない本作。地上で暮らす富裕層と半地下で暮らす貧困層の対比を通して、韓国の社会に蔓延る格差の問題を如実に表現している。自分達がどん底だと思ったギテク一家は、自分達よりもさらに下がいる事を知る。地下にいる人間は、地上に上がろうとする半地下の者を憎み、半地下の人間は、地上にいる優雅な人間を憎む。庭園での誕生パーティーの悲劇は、そんな負の連鎖を象徴している。富裕層の人間からすれば、自分達の世間体さえ良ければ貧困層がどうなろうと構わない。死体を何とも思わないパクを見たギテクが怒りに駆られ、あれだけ死守しようとした地上での生活を呆気なく手放してしまった。その心には、日頃から溜まっていた自分たちよりも下の人間に一切無関心の富裕層への怒りが込められている。
個人的には、富裕層の抱える問題にもフューチャーしてほしかった。欲しいものは何でも手に入るはずの恵まれた「幸せ」の抱える矛盾を描いてくれると期待していた部分もあり、思っていたのと違ったという意味でこの点数。