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風の電話の010101010101010のレビュー・感想・評価

風の電話(2020年製作の映画)
4.5
(メモ)
・喪失を描いているロードムービー的な面と、主人公の女の子の危うい感触が、(自分でも意外だったのだが)どことなく青山真治『ユリイカ』を思い出すところあり。
・出てくる人たちがことごとくよい。あまりにも自然で。そして、ひとりひとりが、何がしかを抱えている。このテーマまで絡んでくるのか!と驚きながら見るも、取ってつけたようなイヤらしさがまったくないのは、映画が寡黙で余白に満ちているからだろう。光、風、構図も絶妙で美しい。

・グッときたタイミングが2つ、3つ…。幻影のなかで家族と再会するシーン…、友達の母親と再会したシーン…、長回しのワンカットが素晴らしい。主演女優さんの演技がとても良かった。
・最後のシーン、この映画で長い時間をかけて描いてきた一人の少女だけでなく、様々な人たちの姿が重なって見えてくるようで、ちょっと、すごい時間だった。
・暗転するタイミングが本当に絶妙で、生理的にグッときた。めちゃくちゃ音楽的な繊細な感度の鋭さを感じた。

・余談だがクレジットに三宅唱とあって、思わぬところでも興奮してしまった。