平田一

るろうに剣心 最終章 The Finalの平田一のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

“未来はここから始まるーー”

週刊少年ジャンプにて連載された和月伸宏さんの「るろうに剣心」を映画化した第四弾。剣心の血塗られた過去が仲間へ牙を剥ける「人誅編」をベースとした物語が展開される。剣心への激しい怨みと無自覚な良心の呵責に揺れる雪代縁を全身で体現するのは『パシフィック・リム/アップライジング』の新田真剣佑さん。

明治の時代を平和に生きてた抜刀斎こと緋村剣心。ところがある日、行きつけの赤べこが爆破され、さらには剣心の知人たちが次々襲撃されていく。その裏に血塗られた己の過去が関わってると気付いた剣心は今だ背追い続ける過去ともう一度向き合うことに…。

堂々たる到達点『伝説の最期編』からのその先の映画と聞いて、蛇足じゃね?って思いました。そしたらこちらの思った以上に物語は暗みを帯びて、『ボーン・スプレマシー』『ローガン』にも通ずる話になっています。両方ともかつて犯した過去が己に襲い掛かって、主人公の愛するものを次々奪い去っていく。テロリストや異星人よりよっぽど身近で手強いもの-捨て去った己の過去-と向き合わなければならないことがどれだけし烈で容易でないかをなかなか描いていましたね。特に縁と戦う時の剣心の立ち振舞いは常に思考を、葛藤をし続けてるのが伝わります。

ですが見せ場をかっさらっていったのは次の方。

まず四乃森蒼紫ですが、なかなか熱い成長です。前作からどんな時を、どんな気持ちで生きていたか、語らずとも想像をさせてくれるお芝居を流石の伊勢谷友介さんが体現していましたね。でも活躍あれだけってちょっと可哀想かなw

もう一人はまさかの登場、瀬田宗次郎ですね。あれから彼は流浪人として生きていることからも、剣心が自分の背中を預けてくれてることからもどこかスッゴく嬉しそうにしているところが嬉しいです。弥彦という弟分が既に認知されていますが、そこを見ると剣心の弟分を狙ってる?w 神木さんは宗次郎にそういう可愛さ加えてますし、変化した宗次郎の殺陣も含めて必見です!

最後は結構意外だって思った神谷薫です。これは主に続投した武井咲さんに関してで、語らずの芝居が非常に素晴らしいって思いました。『チョコレート』というハル・ベリーがオスカーを撮った映画でボクは「沈黙の芝居」って言うのが今も心に残ってます。パンフレットに掲載されてたインタビューを抜粋すると

マーク・フォースター監督「沈黙というのは、ただ言葉を口にしないというだけではなく、強く感情的なものを抱えているということだ」

本人がそれを意図して表現したかは知りませんが、この映画の武井咲さんはそう感じるときが多く、特に縁と剣心を見守るときが顕著かと。結婚してお子さんも生んだ変化の影響なのか、これまでより深みを非常に感じさせるお芝居でした。

ただラストがアッサリしすぎていたのは非常に残念ですが、これはおそらく最終章『The Beginning』故ですね。そのあたりでスコアの方はマイナスになったんですが、相変わらず映画としての完成度は高いです。

さて、これでお膳立ては整ったと思います。今月末に最終章の鑑賞を楽しむぞ!
平田一

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