鉄男

新感染半島 ファイナル・ステージの鉄男のレビュー・感想・評価

3.6
”なんだただの力入ってるゾンビ映画じゃないか”

※本レビューはあくまで個人の見解です。見解の違う点、多少のネタバレ要素もあると思いますが、私なりの作品の魅力をお伝えいたします。


〈あらすじ〉
舞台は前作の新感染(原題:부산행)から4年後の世界。韓国は朝鮮半島はパンデミックにより国家として崩落していた。生き残った人間たちは香港で生きてはいるものの、差別を受け惨めな生活を過ごしていた。元軍人の主人公ジョンソクも肩身の狭い生活を送っていた。そんな中街のギャングからある仕事を依頼される。

「韓国に戻れ。そこで俺たちが手に入れるはずだった金を回収してこい。」

ジョンソクは同じく生き残った義理の兄を含める数人の生存韓国人と共に韓国は朝鮮半島に上陸する。しかしそこは荒廃しきっており、大量の飢えたゾンビと武装し賊化した民兵隊が蔓延っていた。

ゾンビの群れに襲われながらもジョンソクは見知らぬ少女に救われ、義理の兄は民兵隊に捕まってしまう。少女は"野良犬"と呼ばれる生き残りの一家で、ジョンソクと共に半島からの脱出を目指す。

タイムリミットは3日間。それまでに依頼された金を港に運べば脱出ができる。生き残りをかけてゾンビと民兵隊による地獄と化した韓国でのサバイバルが始まる。


〈感想〉
『ソウルステーション/パンデミック』、『新感染』からの3部作目の本作。韓国が世界に向けた本気のゾンビ映画に思えた。

まずグラフィックが圧倒的に大規模な物になっている。中でも今回はカーアクションに凄く力が入っている。更には押し寄せるゾンビの群れと、全てのスケールが圧倒的に大きくなっている。

しかしながら正直、今作は前作に比べ面白みは無くなって思えた。前作が凄く個人的に素晴らしかったので予想はしていたが、予想通りの勿体なさがあった。(前作についてもレビューあるので詳しくはそちらもご覧下さい。)

勿体なさと感じたのはスケールの大きさだ。新感染の素晴らしさは何よりあの電車の中という閉鎖空間と群れのゾンビという相乗効果だと思うが、今作はそこが一切無くなってしまった。その分アクションなどボリュームアップしているが、個人的にはアイデアや表現の面白みが欠け、言うなれば普通のゾンビ映画になった気がした。

だがボリュームアップしたアクションはカーアクションもガンアクションも、「なんかどっかで見たことあるな...」と思うような世界レベルの映画に対抗するような絵面を見せていて、そこは見応えのある映画になっていたと思う。

近年のゾンビ映画としては予算もかかっていて見応えもゾンビの怖さも人間性あるストーリーもあるが、ゾンビ映画好きとしては面白みが落ちたなと思ってしまった。是非前日譚の『ソウルステーション』と『新感染』から観て、韓国が世界に向けて放ったゾンビ映画の力作を感じてみてはいかがですか?


※長い文でしたが読んでくださりありがとうございます。これからも皆様の素敵な映画体験のきっかけになれればと、自分なりのレビューを投稿いたします。
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