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新感染半島 ファイナル・ステージの消費者のレビュー・感想・評価

4.5
・ジャンル
ゾンビ/ポストアポカリプス/ドラマ

・あらすじ
バイオ団地から漏れた化学物質によって韓国で発生したゾンビパンデミック
感染はすぐに全国へ広がり安全とされていた釜山も陥落し国内には逃げ場はない
そうした中で軍人、ジョンソクは姉とその家族達と共に脱出船へと乗り込むが船内にも感染が蔓延
ジョンソクと義兄のチョルミン以外は全滅してしまう
惨劇を受けて近隣諸国は難民受け入れを拒否、朝鮮半島で唯一安全なのは北朝鮮だけとなった
そして4年後
香港に潜伏していた2人は関わりを持つ地元ヤクザからある指示を受ける
ゾンビの蔓延によって無用となった金を韓国から持ち出せ、という物だ
分け前は半分、迎えの待機期間は3日という条件で2人は作戦に参加を決める
上陸後、2人を含めた4人のチームは無事に金の入ったトラックを見つけ帰ろうとするが631部隊と呼ばれる生存する軍人達の指揮する組織に襲撃を受けてしまう
チョルミンはトラックの荷台に隠れた事が仇となり部隊の遊び道具に…
ジョンソクは”野良犬“と呼ばれる部隊から脱走したグループの幼い姉妹、ジュニとユジンの助けでどうにか生還
彼女達と共に半島から脱出すべくトラックの奪還を計画
だが部隊内でもまた金と引き換えに脱出出来る事を知り独占を目論むソ大尉と彼の行動を怪しむファン軍曹の間で不穏な空気が流れ出していた
果たして誰がトラックを手にし半島を脱出出来るのか?
交錯する思惑はやがて激しい戦闘へと発展していく…

・感想
「新感染」の続編でスピンオフである「ソウル・ステーション パンデミック」を含めシリーズの3作目にあたる今作
1作目が電車、2作目が駅や街を舞台としていたのに対し今回の舞台はたった1日で政府の機能が崩壊した4年後を描くポストアポカリプス作品となっている

電車というフィールドを存分に活かして描かれた名作である1作目に対して今作は舞台はそこまで攻防には絡んでこない
そういった点がしばらく気に掛かっていたものの”野良犬“達が作戦を実行してからは激しいカーチェイスにゾンビの大群が絡み合う画力に満ちた展開があり見応えはかなりあった

「北斗の拳」的なヒャッハー状態の631部隊がしっかり悪趣味で強欲だったり、4年前に助けなかった一家の母がミンジョンだったりと人間ドラマとしての魅力も1作目に続いて十分

ただ個人的に最も良かったのはストーリーよりもやっぱり戦闘シーン
カーチェイスは勿論の事、部隊の基地にある闘技場でチョルミンが参加させられるゾンビとの鬼ごっこなども世紀末感が良いし後半のカーチェイスの中での部隊やゾンビとの格闘も頭数の多さのおかげで迫力満点

結末としてはハッピーエンドに近いものの重要人物がしっかり殺されているので悲劇性もちゃんとしていた
また冒頭から「こんにちは? 私だよ!」での好演も記憶に新しいイ・レ演じる凄腕ドライバー少女によるカーアクションが炸裂するのも惹き込まれる良い演出
独自性が強い訳ではないのでめちゃくちゃ名作とまでは行かないものの押さえるべき所はしっかりと抑えた良質なゾンビ作品だったと思う
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