ノラネコの呑んで観るシネマ

新感染半島 ファイナル・ステージのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.7
なるほど、ひと言であらわすと「今度は戦争だ!」だな。
せっかく生き残ったのに、利益を求め死地に帰る辺りもアレに似てる。
一作目の「ソウルステーション」と二作目の「新感染」も世界観だけ同じでアプローチは違ったが、4年後を描く本作も全くの別物だ。
家族ものであることは変わらないが、ギュッと凝縮されていた前作に比べると人間ドラマは弱い。
かわりにポストアポカリプトものの色彩が強まり、世界が広がると共にゾンビ以外にも厄介な敵が続々。
アクション活劇としてのバリエーションとスケールは、大幅にパワーアップしている。
泣けるゾンビ映画ではなくなったが、マッドな世界でのヒャッハーな楽しさは増大したし、これはこれで十分面白い。
最後まで人間の醜さをこれでもかと強調する、ヨン・サンホ本来の作家性はむしろこっちだ。
ただファミリー映画の間口としては、今回はギリギリ許容範囲かな。
しかし列車縛りはなくなったんだから「新」は外せばよかったのに。
作品にそぐわないダジャレだけじゃなく、非常に語呂の悪い邦題になっちゃってるじゃないか。
「ファイナル・ステージ」も意味不明だし、前作以上のワースト邦題オブ・ザ・イヤーだな。


2回目。
ムッチャ面白い。
世界観の変化に慣れたせいもあり、初回よりも楽しめた。 
後悔と贖罪の記憶を抱えた元軍人の再生劇は、やっぱ親子の究極の愛を描いた前作よりは弱いんだけど、アクション活劇としては凄いことをやってる。
入り口は「エイリアン2」で出口は「マッドマックス」なんだけど、ヨン・サンホはやっぱりアニメーション畑の人だなと感じる。
クライマックスのカーチェイスも、CGであることを全く隠そうとせず、物理的にありえない動きを嬉々として作ってる。
だからここだけ観ると、ノリは「マッドマックス」よりも、むしろ「REDLINE」なんだな。
とりあえず、ヒャッハーなアクションからハンカチが必要な泣きまでてんこ盛りで、まさに映画の豪華おせち。
元日に観ると御利益がありそうな気がするw
ブログ記事:
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