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名犬ラッシー/ラッシーの試練のrupertのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

『ラッシーの忠犬ハチ公物語』或いは『墓守りラッシー』

MGMが製作したラッシーシリーズの第6作目に当たる作品で、日本では劇場未公開作。

前々作「故郷の丘」と前作「山荘物語」は人間ドラマがメインでラッシーの出番は少なめだったのに対し、本作は再びラッシーがストーリーの要に置かれていてラッシーの登場シーンも多いので、純粋にラッシーの活躍を楽しみたい人には向いている作品かもしれません。

物語の舞台となるのが1860年におけるスコットランドの中核都市エディンバラ。
メインキャストがラッシー映画の常連であるエドマンド・グウェンとドナルド・クリスプという渋いバイプレイヤーの2人。
クリスプが演じるジョックという年配者が他の犬に追いかけ回されていた子犬の頃の野良犬ラッシーを助けたことで、ラッシーはすっかりジョックに懐いてしまいます。
そんなある日、ジョックは路上で二人組の追い剥ぎに襲われたことが原因で、脳震盪を起こし翌朝亡くなってしまう。
教会墓地に葬られたジョックのもとを離れたくないラッシーが彼の墓のそばにじっと座っている姿が何とも健気。

ところが、教会の敷地内には犬を入れることが禁止されているうえ、飼い主のいない犬は殺処分されるという法律があるため、ラッシーは警察から追われる立場になってしまいます。

警官に捕まったラッシーが逃げ出し、キルトを着たスコットランド兵士の一団に紛れ込んでしれっと一緒に行進したり、岩山の駐屯地まで付いていった後、号令がかかると兵士たちと同じように起立したりする姿がとても可愛らしい♪

その後、ラッシーが切り立った崖を下っていくアクションシークエンスがちょっとした見せ場になっていますが、以前の作品ほど過酷な状況に置かれていないので、それほど印象に残りません。

ジョックの友人のジョン(グウェン)を始め、町の子供たちが何とかラッシーを助けようと、法廷にまで引きずり出されたラッシーを弁護するものの、再び逃げ出したラッシーが墓守りをしている姿を目の当たりにして、それまで法律を盾に杓子定規な態度を見せていた裁判官たちが一計を案じて事態を丸く収めるというファミリー映画にふさわしいまとめ方。

「山荘物語」に引き続き、MGMお抱えの何でも屋的な職人監督にして続編請負人としても重宝されたリチャード・ソープが演出を手掛けていて、目新しさはありませんが手堅くまとめている感じ。

メインキャストのクリスプやグウェンはラッシーのお守り役程度の役回りでしかなく、教会墓地の管理人の娘スーザンを演じるジェラルディン・ブルックスにしても、「山荘物語」におけるジャネット・マクドナルドのようなスター性やパフォーマンス力に欠けているので、印象は薄いです。

それでも、75分程度の小品にもかかわらず、MGM映画らしく、アーサー・シールズ、レジナルド・オーウェン、ヘンリー・スティーヴンソンといった名傍役を取り揃えているおかげで、それなりの充実感がありました。

【パブリックドメインのラッシー&フリッカBOXに収録されていたDVDで鑑賞】
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