みーちゃん

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版のみーちゃんのレビュー・感想・評価

4.8
見所は満載ですが、とにかく、ヌードルスとマックスの生涯をかけた関係性が強烈だった。
互いに一番の理解者でありながら、時には一番目障りな存在でもある。友情という言葉だけでは語れない、嫉妬やプライド、リスペクトが入り混じった複雑な感情。

何故こうなったのだろうと考えると、二人の出会いにまで遡ると思う。もし、ドミニクたちのように、幼い頃に出会っていたら、無邪気に友情だけを育んでいたかもしれない。或いは、ギャング団のリーダーという立場ではなく、1対1のシンプルな出会いなら、最強のバディだったかもしれない。そんな因縁を感じずにはいられない。

そして、ラストに向けて攻めのストーリー展開に驚いた。ここまで風呂敷を広げたら、一体どう纏めるんだろう?なんて、余計な心配だった。さすがセルジオ・レオーネ監督!と思う。終盤45分間のロバート・デ・ニーロとジェームズ・ウッズが発する言葉、間合い、空気。これが脚本によって作られたなんて信じられない。まるで本物のヌードルスとマックスの会話を目撃しているような錯覚に陥る。

考えてみると、ヌードルスは青春時代の全てを刑務所で過ごし、壮年期は全く別の道を歩んだ。二人が一緒にいた物理的な時間は、決して長くはなかったのだ。

だからこそ、拠り所となる少年時代の回想は、モリコーネの音楽と相まって、衝撃的な美しさだった。特に、ストリートを闊歩する彼らの先頭を、とりわけ小さな子が(年少のドミニクかな?)踊るように弾みながら歩くシーンと、パッツィが女の子のために買ったケーキを、待っている間に自分が食べちゃうシーン。

美しくも、切なくて、甘酸っぱくて、胸がじんとなる。なぜだか泣きそうになる。いつまでも心の中にピン留めして、思いを馳せたくなる原風景だ。