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あなたの名前を呼べたならのシノのレビュー・感想・評価

あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)
3.8
田舎者で、未亡人(子なしだし更に田舎で立場悪いんだろうな…泣)で、貧困で、女性でのラトナと、
都会人で、金持ちで、男性で、ハンサムなアシュヴィン(旦那様)。

アシュヴィンはその育ちの良さがゆえに心からの親切を出来るんだけどそれがラトナ(特権を持っていない側)のプライドを傷付けたりしてるのに気付かないのが辛い。
じゃあアシュヴィンが悪いんか?という事でもないんだけど(いや、そうなのかな…)特権を持ってる側はそれを自覚していないんだな…と思わされた。

婚約破棄されたのは可哀想だけど、ラトナの境遇に比べたらノーダメに近い。ただその傷心のタイミングだったからなのか大して親しく交流もしてないのにラトナに急にベタ惚れしちゃってラトナからしたら「普通にしてたのになんで!?良い人だし淡い憧れはこちらも無くはなかったけど…」と、実際来られたら世間体とか色々困ることだらけなのにこの人はそういうのわからず自分のお気持ちだけで来てんな!?となる訳ですよね。(だってクラブで会った女性とワンナイトしてるし一途って感じでもないし)
仕事で挨拶交わしてるだけなのにコンビニ店員に惚れる厄介客みたいなののハイパワー版って感じだ。雇用主と一緒の家で寝泊まりしてて体格差あるし断りづらい中、えらいぞ!ラトナ…!

まあラトナもアシュヴィンの事は良い人と思ってるしキモいまでは全然行ってないと思うので、結局二人はこれから薄く交流は続くかも知れないけど恋仲にはならずなんだろうな…。なんつーか、ちょっと周りが見えてない感じで好きすっ飛ばして父親に「愛してるんだ」って言えちゃう位の軽率な盛り上がり、ラトナには見抜かれてんじゃないっすか…?
勿論そうなったらロマンチックだなとも思うけど、思慮深いラトナの性格からして夢に関わる仕事と生活に注力したいだろうし、更には信仰深いラトナなら寡婦殉死とまでは行かなくてもアシュヴィンと伴侶になるのはしんどいはずだし…。

しかしそれらを含めて良い邦題ですね!!立場の差とか色々(を自覚してないアシュヴィンに軽くムカつきつつも)最後の最後で涙が飛び出た。ラトナ、幸せになって!!!

妹お前はお姉ちゃんに学費出してもらっといてなんじゃお前!もっと考えろ!でも幸せになってね!!
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