マルケス

あなたの名前を呼べたならのマルケスのレビュー・感想・評価

あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)
4.5
インドでは今も厳しい階級制度があり、仕事も結婚も階級によって決まってしまう。
富裕層の子どもは物心ついた時からメイドや運転手がいて、彼らに命令する大人を見て育つ。そりゃ特権意識も骨の髄まで染み込む訳だ。
人間平等なんて絵空事、100年経っても変わらないだろう不条理に悲しくなった。

ラトナの雇い主であるアシュヴィンが「サンキュ」とさり気なくお礼を言うのが好きだ。
本来ならば、それらはラトナの仕事なのだからお礼の必要はない。そんなこととは関係なく、してもらったことに対してお礼を言う。アメリカに住んでいた影響もあるだろうけど、アシュヴィンの人間としての優しさが感じられた。

最後にラトナがためらいがちに呼ぶ「アシュヴィン…」これは泣いた。引き算の演出が好みで、余白を読みたい人間にとっては、胸を締めつけられるような作品だった。
原題は『Sir』邦題には不満を持つことが多いが、この邦題は秀逸。
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