これはたまらなくドキドキした。
婚約破棄した御曹司と、家で住み込みで働く未亡人のメイドとの恋。
恋といっても決して許されない身分違いの恋で、インド映画的なゴリゴリアピールなんて出来るもんじゃなく…。静かに距離を詰めていき、触れるギリギリのとこで踏み留まる。
メイドは夢すら持ってはならないのかと過剰反応する彼女を見るに、それがインドでは当たり前の認識なんだなと思い知る。そして一生未亡人として生きなければ、愛する人を見つけたら逆に恥ずかしい思いをすると。
たかだかメイドと雇い主なのに…と思うが、カーストがある国ならではの複雑な心境と描写。映画としてはやっぱり障害がある恋のほうがドキドキが増す。
原題の『Sir』と邦題の『あなたの名前を呼べたなら』と最後の言葉、全てが相まって素晴らしかった。