『めいっぱい楽しんでいい、これは私たちの人生なのだから』
青春とは、気付いたときに終わっているもの。
はじまりは、終わりのはじまり。
誰が言ったか、人生のかけがえない時間はあっという間に過ぎていくものだ。
本作【ブックスマート】は、そんな人生の瞬くような煌めきの時間を真っ向勝負で描いた、正真正銘の青春映画。
イケてない二人の女子学生。彼女たちは高校生活の最後に誰よりも楽しもうと、同級生がバカ騒ぐ一夜に繰り出す。
流行りの合わせ方なんて知らない、空気の読み方なんて知らない、ドラッグもセックスも、なんなら恋の仕方だって知らない。
でも、だからこそ、この世界には知らずして死ぬにはもったいない喜びが溢れていることをド直球に感じられるのだ。
パーティーの喜びと苦さを知る本国の人たちには、地味ガール大逆転の狂乱と、一歩を踏み出す勇気を。
パーティー文化よりも童貞か処女かの噂話好きの我が国の人には、笑いと羨望のドラマを。
ティーンコメディかくあるべきの映画は、気持ちよく描いてくれた。
人生には知らないことが無数にある。
驚き、喜び、悲しみ、痛み、可笑しさ、楽しさ、不甲斐なさ、勇気。
知らなくていいことだってあるけれど、彼女たちが一歩踏み出して知ったことは必ずこれからの人生につながってゆく。
バカ騒ぎをまっすぐに描きながら、人生のおもしろさまで教えてくれる良作でした。
