馮美梅

罪の声の馮美梅のレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.0
グリコ森永事件をモチーフに、3人の子供の声を中心にその子供たちのその後の人生と事件の真相に迫る。

京都で父親のテーラーを引き継いだ曽根俊也、今は新聞社で文化部の記者をしている阿久津英士。父の遺品の中から1984年と書かれたカセットテープと手帳。カセットを聞くと途中から突然忘れていた声が…ギン萬事件の時の脅迫テープ。その声は紛れもない自分の声。でもいつ録音したのか?何のために?自分自身の曖昧な記憶、そして手帳の存在。何故か英語で書かれいてる中身。曽根はその手帳がだれのものでどういうものなのか?そして録音テープの謎を自分なりに手掛かりを探す。

一方阿久津も社会部の元上司の命令でギン萬事件に対しての再取材を要請。全く乗り気でない。記者よりも曽根の方が少しずつ真相に近づくのが早いのがね。

そして2人がようやく会うことで、少しずついろんなことがわかっていく様子はドキドキハラハラ。しかし、なにより曽根よりも犯人グループにいた父のせいで、人生がめちゃめちゃになってしまった生島一家のその後が壮絶過ぎて…。

何も知らずに書かれていた物をただ読まされた生島家の2人の子供、望と聡一郎の未来は変わり果ててしまった。自由のない監視生活の中、脱走して自由になろうとした姉・望の夢も、安住の地もなく母とも別れ別れになってしまい、それでも逃げながら生きてきた聡一郎、曽根からの電話に「幸せでしたか?」と言われた時の曽根の驚きと対面して聡一郎から聞いた悲しい話に、俊也は同じ時間、忘れていた記憶に何とも言えない気持ちになる。

そして、録音したのは母だったことを知る、なぜ母は自分にあんな録音をさせたのか?その理由も全く理解する事なんてできない。

グリコ森永事件、忘れようにも忘れられない事件でした。
あの子供の声も、怖いよね~。
事件の舞台になった場所も、自分の知ったる場所ばかりなので当時も怖かった。旦那が目が一重だったりしてよく冗談で「キツネ目の男」とか言われてたこともありました(あくまでも冗談ですけどね)

結局未解決のままになってしまったけど、フィクションとはいえ、真実味のある仕上がりになっていたと思います。脚本が野木亜紀子さんということで偶然かどうかわかりませんが「アンナチュラル」「MIU404」の俳優組も結構参加されていたし、兎に角凄かったのは成人後の生島聡一郎を演じた宇野祥平さん、登場シーンからもう凄く引き付けられたし、彼の失われた人生を語る時は本当に切なくなりましたし、それは姉の望を演じた原菜乃華さんも希望と絶望の狭間の演技を見事に演じておられました。

偶然、同じ日に若葉竜也さんを作品で観た(笑)
関西のロケ地などは知ってる場所も多いし、当時の事件を知ってるだけに作品を観てゾワッとした。
馮美梅

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