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罪の声のhynonのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.0
ただ表面的に事件をなぞった映画でもなく、センセーショナルなエンタメでもなく。
非常に骨太な、見応えのある映画でした。

1980年代に日本を震撼させた大手食品メーカー恐喝事件。
その真相を追う新聞記者と、幼少期にその事件の脅迫テープで自分の声を使われた男性が、それぞれ各所で聞き込みを始める。
ふたつの線はやがて交わり…。

事件よりも人。単に事件の真相を追うというよりは、意図せず事件に巻き込まれた人たちの想いや人生が丁寧に描かれます。

関係者はその後どうなったのか?
時効となった事件を掘り起こす意義とは?
正義とは?

一口に「…事件」と言っても、その深淵と波紋は測りしれないのだ、と。

ややご都合主義な展開もありますが、それを差し引いても秀作だと思います。

ただ、ひとつ、どうしても引っかかるおかしな点があり、モヤモヤしたままです。
その点について納得のいく説明が得られないとしたら…ちょっとがっかりです。

展開と演技に引き込まれ、長尺ながらもかたときも目が離せない2時間22分でした。
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