虎舞羅ーコブラー

罪の声の虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.6
久しぶりに母と一緒に劇場で鑑賞。

日本最大の未解決事件「グリコ・森永事件」を題材にした、社会派クライムミステリー映画。
星野源さん演じる曽根俊也が、未解決劇場型犯罪に“小さい頃の声”を使用されていたと知り、小栗旬さん演じる新聞記者、阿久津英士と共に事件を調べていく。

私が劇場で鑑賞した、今年の実写映画の中ではNo.1の私的傑作!是非とも見て頂きたい一作です…!
事件の内容だけは事前に調べて鑑賞しましたが、企業名は変えてはいますが実際の事件にギリギリまで近づけて描かれていましたね。
ストーリー面では、ダレる事なく次々と手がかりの点と点が繋がりながら進むので、進めば進むほど引き込まれます。
ミステリー要素も秀逸ですが、中盤から展開されていく重厚で濃密な人間ドラマも印象的。それぞれの人が過去の罪を背負って生きており、それにどう向き合うのか。社会派な内容なので、考えさせられる要素も詰まっていました。
また、演技の面でも秀逸と言えるのではないでしょうか。主演の小栗旬さんの、「記者としてどう事件に向き合うか」という思いをはらんだ力強い眼差し。星野源さんの、「事件を明らかにしたい一方、自らの家族を巻き込みたくない」という葛藤と熱意が伝わる繊細な演技。
主演のお二人は勿論、周りを囲むキャストの皆さんの演技も相まって、高級感のある上質な作品に仕上がっています。

子供の声を脅迫に使うという悪質な手口。そして、使われた子供たちの人生と夢は崩れてしまう。“罪の声”。それは、大人の身勝手な理屈から生み出され、子供たちだけではなく、不特定多数の人々を苦しめた。無垢で弱く小さい者を、彼らはいつも利用する。

「フィクションと一概に言える作品ではない。この作品には、紛れもなく逃れられない深淵かのような現実が含まれている…。」