Shin

罪の声のShinのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.5
原作を読んだ時から、これは映画化されたらかなりの良作になると期待していた本作。

年代的にもモデルとなっている"グリコ・森永事件"はかなりのインパクトで、今でもキツネ目の似顔絵は忘れられない。

原作が素晴らしいだけにどのように映像化されるのか気になっていたが、監督や脚本家が見事に分かりやすく組み立ててくれている。

主役のテーラーの曽根(星野源)と、新聞記者の阿久津(小栗旬)が、追われる者と追う者の立場から、やがて真相に向かって共闘する様は観ていてワクワクさせてくれる。展開を知っててもね😯
生島望役の原菜乃華もはかない少女の無念さを好演していた。

ただひとつ気になったのは、果たして原作にはない終盤の阿久津が達雄に迫っていく描写は必要だったのだろうか。メッセージはより明確に伝わってきたが、少し説明的になりすぎており、こちらが想像する余白を無くしてしまった気がする。

最も印象深いのは、原作だけでは味わえない、もうひとつの主役でもある"子供の声"の存在。
身勝手な大人たちの犯行により、未来を奪われた子供たちにスポットを当て、埋もれた事件を掘り起こし、現在生きる私たちに訴えかける本作はとても意義深い。
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