けろちゃん

罪の声のけろちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

罪の声(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

社会や体制への怒りをぶつけるために、何も知らないまま声明文を読み上げることで犯罪の道具として加担してしまった3人の子供。
最初はテーラーがその1人として悲劇的に描かれるが、もう2人のこれまでの人生を知った途端に罪の意識が芽生える。
ただ劇中で記者も言っていたようにこの罪悪感は本来生まれるものではない。
テーラーが恵まれていたのではなく、もう2人の当たり前が奪われたのだ。
結果的に弟と母親は再会を果たしたが、これまでの人生は生き地獄であることは間違いないだろう。
母親に関しては本人からの告白はないが、ヤクザが経営している会社の寮で周りが男だらけの環境に残り、息子は放火して逃げているので、かなりひどい扱いを受けたのではないだろうか。

警察に火炎瓶を投げた、と言っていたが体制に怒りを覚えるのであれば犯罪で一矢報いるのではなく、それを正す方法で行わなければ意味がない。
結局のところ目的は世を変えるということではなく、個人の感情に依存するものであったと言える。
申し訳なさの表れのような描写が見られなかった気がするが、ロンドン住みの主犯とテーラーの母親には罪の意識はあったのだろうか。

特にロンドン住みの主犯には個人の感情まかせに子供達や周りの人の人生を奪った罪を意識してほしいと期待したが、消息を絶ったことから彼はfossilのまま生きていくのだと思った。

少女がどうなったかを観客が知っている上で最後に回想を入れるため、張り裂けそうになる。
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