ジェイコブ

悪人伝のジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

悪人伝(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

韓国天安市では、無差別連続殺人事件が発生していたが、警察は何一つ手がかりを掴めずにいた。捜査に当っていた刑事チョンは、地元のヤクザ組長チャン・ドンスの縄張りで時には暴力も厭わないような過激な取り締まりや捜査を行っており、上司からも疎まれる厄介者である。ある日、ドンスが連続殺人の犯人に襲われ、重傷を負うが、一命を取りとめた知らせが入る。チャンは連続殺人事件唯一の目撃者であるドンスに話を聞こうとするが、ドンスは自分の手で犯人を捕まえ、制裁を加える事にこだわり、チャンを相手にしない。そんな中、チャンは上司から事件の担当を外され、捜査をするための人手と金が足りない状況に陥ってしまう。一方のドンスもまた、犯人に関する重要な証拠を手にするも、それを使って犯人の足取りを掴む方法が分からないため、捜索が行き詰まっていた。暴力刑事のチャンと、執念深いヤクザ組長のドンス。双方の利害が一致した時、前例のない合同捜査が始まるのであった……。
ハリウッド進出も決まっているマ・ドンソク主演のバイオレンス映画。ハリウッドでもリメイクが決まっており、カーアクションに壮絶な殴り合い、ヤクザ同士の抗争など、様々な要素が詰め込まれた手に汗握りっぱなしの2時間弱。マ・ドンソクに車をぶつけたら、その時点で死を覚悟しなきゃならんのに、一度は見逃そうとしてくれた彼の温情を無下にした時点で、犯人の運命は決まっていたのだろう笑
魅力を語れば、一晩明かせそうな男マ・ドンソク主演の本作。彼が演じるドンスは、敵に対して容赦ない暴力を加え、徹底的なまでに叩き潰すが、義理堅く礼儀を重んじ、雨に濡れた子供に傘を差し出せなど、一般市民には優しさすら見せる。本作は、そんな彼のギャップ萌えが見所の一つでもある。
クライマックスで犯人を捕まえた後も、証拠が不十分であることから無罪にもなりかねない状況になってしまうなど、二転三転するストーリー展開で最後まで飽きさせない。窮地に追いやられたチャンを救うのが、ドンスというのもまた熱い。しかしそんなドンスもただで協力するわけじゃなく、ちゃんとした思惑があって……など、最後の最後までご都合主義で話が進んでいないのが見事。
バイオレンスアクションというジャンルながらも、他の韓国映画に比べたらバイオレンス要素は控えめであるため、そのジャンルが苦手な人にもオススメできる。